ゴー宣DOJO

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切通理作
2012.1.4 07:58

「希望の国・日本」の理由

 「本当にリベラルな人たちが『世界のどの民も幸せになってほしい』と思うのならば、グローバリズムの中での弱肉強食の過酷さに気付くべきだ」

 昨年、雑誌の取材で改めてお話を伺った時、そう小林よしのりさんがおっしゃっているのを聞いて、反TPPというのは、国体としての日本を守ることを通して、むき出しの力の原理に対して否を唱えることなのだと思いました。

 

軍事的な戦争は忌避するのに、TPPは賛成する。それは貿易や経済においては競争して勝って勝って勝ち抜いて、貿易相手国の農産物も工業製品も全部駆逐して勝ちまくる……という非常に威勢の良い、好戦的ともいうべき姿勢を持っていることになる。

もし勝ったとして、日本で冷害が起こって農業が出来ない時に、日本人は自分たちだけが食べて貿易相手国の人間が飢え死にしてもかまわない……と思えるのだろうか?

そう思えるし、平然と出来るのがグローバリズム?

 TPP賛成派は、そこまでのことを想定出来ているのか?

 

 小林さんは「日本人にはそれは出来ないということをベースに、日本人の<公>を広げていくという風にならなければ、世界はよくならないんじゃないか」と言った後、「そういう理想主義からわしは言ってるのね」と言い添えました。

  それが<理想主義>だとするならば、まず日本人は日本の<国体>を守るという形で、自立した国民であることを示していく必要があるのではないか

  

  もともと僕は気分としてのリベラル派で、保守系の論客が「国家」を強く押し出すと「キナ臭い」と思ってきました。

しかし昨日も書いた通り、ゴー宣道場に参加している内に、戦争を戦ってきたかつての日本人こそが、民主国としての自由と平和を守るために戦っていたのではないかと思い至るようになりました。

 

 そして、ひるがえって現代を見た場合、近代を作ってきた人たちの戦いは、決して過去のものではなく、いまもまた続いているのだ、とも思うようになったのです。

 

  国体を基準にすることで、自由と平和を守り、それを広げていく可能性。

  新しい年に、その希望を僕も掲げたいと思います。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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